「みんなで大家さん」分配金滞り出資者が資金返還求め提訴

不動産ファンド「みんなで大家さん」9月末に支払い予定の≪全商品≫で分配金が支払われず…運営会社側は「回答には時間を頂戴したい」

令和7年10月1日
引用元:MBS毎日放送

 

不動産ファンド「みんなで大家さん」で9月末に支払い予定だった全ての商品について、分配金が出資者に支払われていないことが分かりました。

 

不動産会社「都市綜研インベストファンド」は、「みんなで大家さん」という名称で賃貸物件の収入を分配する投資商品を販売・運営しています。

 

「みんなで大家さん」をめぐっては、千葉県の成田空港近くの土地開発に絡む投資商品に対して支払われる予定の出資者への分配金が今年7月から3か月連続で支払われていませんが、関係者によりますと、9月末に支払い予定だった18の商品全てで支払われていないということです。

 

資産の流用を防止するため不動産ファンドに義務付けられている「不動産ごとの資産管理」ができているのかどうかについて、運営会社側は「回答には時間を頂戴したい」としています。

 

 

「もう100回か200回はかけた、電話をかけてもつながらない」不動産ファンドで出資トラブル 1200万円出資した男性 ファンド側は“遅延は一時的”

令和7年9月30日
引用元:RKB毎日放送

 

「出資したら年間7%の分配金がもらえる」不動産ファンドの言葉を信じて出資した福岡市の男性が、「金を返してほしい」と訴えています。

 

この不動産ファンドをめぐっては全国の3万7千人以上が総額2000億円を出資。

 

集団提訴に発展する事態になっています。
何が起きているのでしょうか。

 

■「みんなで大家さん」に1200万円を出資した福岡市の男性
福岡市に住む40代男性
「自分自身もここの部分がないとこっからの生活あなたたち責任取ってくれるんですかって話ですよね。だからまず、返せという話です」

 

出資トラブルについて憤りを訴える福岡市在住の男性。

 

男性が出資したのは不動産ファンド「みんなで大家さん」の大規模プロジェクト。

 

成田空港近くの広大な敷地に、「ゲートウェイ成田」という新たな街を開発するというもので、男性は1200万円を出資しました。

 

福岡市に住む40代男性
「”みんなで大家さん”の”成田シリーズ”っていうやつがあるんですけど、それのネットとかCMとか見てて、おもしろいやつがあるなと思って。(説明会では)リスク面を聞いたときに『ほぼほぼない』みたいなことを言われました」

 

■出資額の7%分配されるはずが・・・
出資者が共同で不動産投資を行う「みんなで大家さん」

 

ビルやホテルといった物件に出資をすると、テナントなどが支払う賃料収入から、年間で出資額の7%を分配されるというものでした。
出資者は全国で3万7千人以上にのぼり、集めた資金は総額2000億円を超えました。

 

男性が出資した「ゲートウェイ成田」は去年、完成する予定でしたが…
工事は大幅に遅延。
完成予定は延期を繰り返し、最終的には2027年末となっていました。

 

こうした中、今年7月、福岡市の男性のもとに1通のメールが。
内容は「年6回出している分配金が遅延する」というものでした。

 

福岡市に住む40代男性
「単純に、人として約束を守れよしかないですよね。一番初めの所で大丈夫だって言ったところも、そもそもなんか怪しいことをしてたんじゃないかとしか思えないし」

 

■ファンドを運営する不動産会社の説明は
今回の問題を受けてファンドを運営する大阪市の不動産会社が8月下旬に経緯を説明した動画を公開。

 

大阪市の不動産会社
「皆様こんにちは。心配をおかけしている事、心から深くお詫び申し上げます」「最善の努力を続けており『死守する覚悟』で取り組んでおります」
そして分配金については「賃料収入が滞っているものの、“遅延は一時的”だ」と説明しました。

 

■「泣きを見る人たちがいっぱい出る」と訴え
福岡市に住む40代男性
「一向に電話に繋がることはなく。もう100回か200回はかけたかな。それでも電話が繋がることはなく、その後はメールのやり取り。『1年経っていることは、大変申し訳ございません』という内容ばかりで。お金って、色んな思いが入ったものがあるので、本当に人が生きる死ぬって話になるかもしれないから。そういう中で、このまま自分だけで抱えてもどうしようもないから、みんなに知ってもらってどうにか解決していかないと泣きを見る人たちがいっぱい出るのかなと思った。こういう機会で話を聞いてもらって、それで何かが変わればと思っています」

 

 

分配金の支払い遅れが続く不動産ファンド「みんなで大家さん」大阪府の吉村知事が国や都と連係し対応する考えを示す

令和7年9月22日
引用元:MBS毎日放送

 

分配金の支払い遅延が続いている不動産ファンド「みんなで大家さん」。大阪府の吉村知事は国や都と連係して今後対応していく考えを示しました。

 

「みんなで大家さん」は大阪市の会社が運営する不動産ファンドで、年利7%の賃料収入を分配するなどとうたって、所有する不動産への出資を募り、2000億円以上を集めました。

 

しかし、成田空港近くで都市開発を行う「ゲートウェイ成田」という主力商品で、大幅に開発が遅れ今年7月から分配金の支払いが停止。出資者が出資金の返還を求めて集団提訴しました。

 

運営会社を管轄する立場にある大阪府の吉村知事は9月22日、この問題について言及しました。

 

(大阪府・吉村知事)「今の支払い遅延そのものが、ただちに法律に違反するわけではないが、しっかり対応しなければならないところだと思いますし、国と東京都とも連携して適切な対応をしていきます」

 

「みんなで大家さん」の運営会社をめぐっては、去年6月に大阪府が1か月の業務停止命令を出していました。

 

 

「みんなで大家さん・成田」出資者5人が提訴 行政処分で/千葉

令和7年9月21日
引用元:毎日新聞

 

成田空港(成田市)周辺の開発用地への出資を募る不動産投資商品「みんなで大家さん シリーズ成田」を巡り、運営会社が行政処分を受け多大な不利益を被る危険性があるとして、出資者5人が同社に対し契約の解除と出資金計6000万円の返還を求めて大阪地裁に提訴した。16日付。

 

訴状などによると、運営会社は「都市綜研インベストファンド」(大阪市)。成田空港北西の約45万平方メートルの用地に大型商業施設を開発し、テナント料を出資者に分配するとし、1口100万円、年7%の想定利回りで2020年11月から出資者を募った。

 

当初はホテルや飲食店が入る予定だったが、食料品店に絞り込んだ事業プランに変更。出資者が投資判断をする上で重要な変更だったにもかかわらず、説明を怠ったとして、昨年6月に大阪府から30日間の業務一部停止の処分を受けた。

 

原告は秋田、茨城、埼玉、東京、岐阜の5都県に住む出資者。行政処分で同社の信用が失墜し、不動産価値の下落や分配金の減少、喪失が起こる危険性があると主張。今年7月と8月の分配金支払いが遅延したとしている。

 

 

成田空港周辺の不動産投資商品 分配金滞り 出資者5人が提訴

令和7年9月19日
引用元:NHK

 

千葉県の成田空港周辺の開発用地に出資を募り1500億円以上を集めている不動産投資商品で、分配金の支払いが滞り、一部の出資者が資金の返還を求めて19日までに裁判所に訴えを起こしました。
開発を手がける会社はNHKの取材に対し「誠実に訴訟に対応して参ります」とコメントしています。

 

訴えを起こしたのは、東京・千代田区の不動産会社のグループが手がける不動産投資商品「みんなで大家さん」の「シリーズ成田」の出資者5人です。

 

会社側の説明によりますと、この不動産投資商品はホテルや商業施設などの建設を計画している千葉県の成田空港周辺の45万平方メートル余りの開発用地に、個人の投資家などを対象におよそ5年前から1口100万円で出資を募っているものです。

 

年7%の想定利回りで分配金を支払うとして、先月時点でおよそ1560億円を集めているということです。

 

しかし開発を許可した成田市によりますと、当初4年前に完了する予定だった土地の造成工事は3回にわたって期限を延長し、今も終わっていません。

 

再来年冬には一部施設のオープンが予定されていますが、ことし1月時点で県に報告された計画全体の進捗率は2%余りにとどまっているということです。

 

ことし7月以降は分配金が支払われておらず、原告5人は契約の解除と出資金あわせて6000万円の返還を求め、19日までに大阪地方裁判所に訴えを起こしました。

 

不動産会社のグループで、開発を手がける「共生バンク」はNHKの取材に対し「分配金の原資となる賃料の支払いが遅れており、まずはグループが保有する不動産の売却を進め、原資の確保に努めたい」としたうえで「訴状が届きましたら誠実に訴訟に対応して参ります」とコメントしています。

 

【過去には行政処分も】
「みんなで大家さん」の「成田シリーズ」をめぐっては去年6月、東京都と大阪府がそれぞれ販売を行う東京のグループ会社と運用を行う大阪のグループ会社に対し「開発計画に変更があったのに投資家に対し十分説明していなかった」などとして、業務の一部を30日間停止するよう命じる行政処分を出していました。

 

会社側は処分の取り消しを求めて裁判で争い、1審で認められたものの、2審の高等裁判所で訴えが退けられました。

 

【出資した男性「行政が開発を許可 信用する一因に」】
原告の1人で関東地方に住む70代の出資者の男性はNHKの取材に不安な胸の内を語りました。

 

定年退職した後、年金に頼る生活を不安に思っていた男性は去年1月、インターネットでこの開発プロジェクトを知り「計画の実現が期待でき、利回りも高い」と感じ、400万円を出資しました。

 

はじめは2か月に1回分配金が支払われていましたが、ことし7月から支払われなくなり、解約を申し出たところ「現在解約には半年から1年かかる」と説明され応じてもらえなかったということです。

 

男性は「コロナ禍が終わってインバウンドが回復する中、成田空港周辺の開発に期待を抱いてしまった。投資は素人だったが、行政が開発を許可していることも信用する一因になった。お金が戻ってこなければ生活水準を下げざるを得ず、今後がとても不安です」と話していました。

 

【会社「行政処分以降 資金調達が遅延」】
「共生バンク」はNHKの取材に対し、開発が遅れている理由について、新型コロナウイルスの影響やロシアのウクライナ侵攻による建設資材の高騰などを挙げ「プロジェクトの価値を上げるため、事業計画のブラッシュアップを行った。その期間の工事の休止と設計の変更が最大の要因だ」と説明しています。

 

また分配金の支払いの遅れについては「行政処分を受けて以降資金調達が遅延し、分配金の原資となる開発事業者からの賃料の支払いが遅れている。まずはグループが保有する換金性が高い600億円ほどの不動産の売却を進め、原資の確保に努めたい」としています。

 

そのうえで「訴状が届きましたら誠実に訴訟に対応して参ります」とコメントしています。

 

【成田市長「投資トラブル 当初全く想像せず」】
会社側のホームページによりますと、東京ドームおよそ10個分にあたるこの土地では、ホテルと商業施設に加え、食をテーマにした複合施設が建設される計画で、2027年冬には一部施設のオープンを予定しています。

 

今月現場を訪れたところ、土地の造成工事は行われていましたが、建設中の建物はありませんでした。

 

この土地は成田空港会社がおよそ4割を所有し、原則として建物を建てられない「市街化調整区域」ですが、会社側が提出した開発計画の案を審議した結果、2019年に成田市が土地の開発を許可しました。

 

成田市の市長は先月の定例会見で「きちんと計画を精査し、条件を満たしていることを確認し許可した。投資をめぐるトラブルは当初全く想像していなかった」と説明していました。

 

市は土地の造成工事の期限を11月末としており、工期の延長を認めるかどうかは「計画の実現性などを踏まえ検討する」としています。

 

また成田空港会社も同じく11月末までとしている土地の契約について「工事の継続能力などを踏まえ延長するか検討する」としています。

 

【小池都知事「これまでも繰り返し指導」】 この投資商品の販売会社に対する監督権限を持つ東京都の小池知事は「この会社には投資家が適切に判断ができるよう十分な説明を求めていて、これまでも繰り返し必要な指導をしてきている。対象の不動産は非常に広域に及ぶということから、国の責任においての適切な判断、必要な対応を行う仕組みにすることなどを国に要望をしている」と述べました。

 

そのうえで今後の対応については「国や大阪府と引き続き法律に基づき適切に対応していく」と述べました。

 

 

不動産投資商品「みんなで大家さん」運営会社を提訴 出資者が契約解除、出資金返還請求

令和7年9月19日
引用元:産経新聞

 

成田空港(千葉県成田市)周辺の開発用地への出資を募る不動産投資商品「みんなで大家さん シリーズ成田」を巡り、運営会社が行政処分を受け多大な不利益を被る危険性があるとして、出資者5人が同社に対し契約の解除と出資金計6千万円の返還を求めて19日までに大阪地裁に提訴した。16日付。

 

訴状などによると、運営会社は「都市綜研インベストファンド」(大阪市)。成田空港北西の約45万平方メートルの用地に大型商業施設を開発し、テナント料を出資者に分配するとし、1口100万円、年7%の想定利回りで2020年11月から出資者を募った。

 

当初はホテルや飲食店が入る予定だったが、食料品店に絞り込んだ事業プランに変更。出資者が投資判断をする上で重要な変更だったにもかかわらず、説明を怠ったとして、昨年6月に大阪府から30日間の業務一部停止の処分を受けた。

 

原告は秋田、茨城、埼玉、東京、岐阜の5都県に住む出資者。行政処分で同社の信用が失墜し、不動産価値の下落や分配金の減少、喪失が起こる危険性があるとしている。同商品では、今年7月末予定だった分配金支払いの遅延も生じている。

 

 

 

 

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【トラブル】みんなで大家さん「換金性資産」600億円の内容判明

令和7年8月29日
引用元:日経不動産マーケット情報

 

成田ファンドの分配金停止に揺れる「みんなで大家さん」。運営元の共生バンクグループが保有を主張する“換金性資産”の内容が日経不動産マーケット情報の取材で明らかになった。大阪、東京、軽井沢、千葉に所在する4物件の詳細は下記に示した通りだ。

 

● 共生バンクの「換金性資産」4物件

・宗右衛門町モータープール
 住所:大阪市中央区宗右衛門町6-13(住)
 売出価格:460 〜 500 億円
 土地面積(㎡):3,743.33 建物面積(㎡):6,295.55(*1)
 用途地域:商業 容積率:500% 交通:地下鉄なんば駅 徒歩5分

 

・西日暮里3丁目の土地
 住所:荒川区西日暮里3-1109-1ほか(地)
 売出価格:50億〜55億円
 土地面積(㎡):3,924.52 建物面積(㎡):1,687.43 (*2)
 用途地域:近隣商業、第二種中高層住居専用 容積率:300% 交通:JR日暮里駅 徒歩4分

 

・AISIA軽井沢
 住所:長野県軽井沢町追分1596-1ほか(地)
 売出価格:55億円
 土地面積(㎡):20,666.49 建物面積(㎡):4,591.69
 用途地域:第一種住居 容積率:200% 交通:しなの鉄道御代田駅 車5分

 

・都市綜研 千葉駅前ビル
 住所:千葉市中央区富士見2-21-8(住)
 売出価格:20 億円
 土地面積(㎡):1,020.60 建物面積(㎡):9,046.12
 用途地域:商業 容積率:600% 交通:モノレール葭川公園駅 徒歩1分

 

【注】売出価格は物件概要書記載の価格と市場関係者への取材に基づく。(住)は住居表示、(地)は地番。「*1」は登記簿記載の情報に、「*2」は2021年時点の競売資料に基づく建物面積で、いずれも現況と異なる可能性が高い

 

みんなで大家さんは、約4万人の個人投資家から2000億円あまりを集めた不動産小口化投資商品(クラウドファンディング)。主力の「シリーズ成田」で7月末に予定していた分配金が支払えず、栁瀨社長が2025年8月9日に釈明の動画メッセージを公開。8月末の配当再開に向けて、物件売却もしくは担保提供による資金調達を進めるとしていた。8月22日に公開した第2弾の動画メッセージでは、改めてその覚悟を示している。

 

「グループが保有する複数の不動産の売却や借り入れによって、その予算をまかなうべく(中略)現在4社と商談を重ねております。現時点では確定ではございませんが、配当の原資として今月の支払いに間に合うように最善の努力を続けており、死守する覚悟で取り組んでおります」(栁瀨氏)。

 

同氏はこの中で、成田プロジェクト以外に換金性の高い不動産を600億円ほど保有すると主張。しかし、日経不動産マーケット情報がコンタクトした投資家によると、払込期日の8月29日(15時時点)になっても、シリーズ成田の配当は止まったままだ。

 

共生バンクの財務状況は今年の春先には深刻化し、資産売却に向けて東奔西走している様子が漏れ聞こえていた。こうした情報は業界関係者の間で広く共有されており、日経不動産マーケット情報は複数のルートから販売資料(概要書)を入手することができた。4物件はいずれもグループ会社の都市綜研インベストバンクが保有。それぞれの中身を分析すると、仕入れ値を大幅に上回る価格での売却を見込む土地や、裁判で係争中の土地も含まれ、その売却は一筋縄ではいかないことが想定される。

 

資金繰りの命運握る「宗右衛門町」

 

売出価格460億円以上と、金額の面で最も大きいのは大阪市中央区に所在する宗右衛門町(そえもんちょう)モータープールの土地である。

 

物件は、グリコ看板で知られる戎橋(えびすばし)から徒歩3分。繁華な心斎橋筋商店街から少し入った一角で、道頓堀の川端から見るとドン・キホーテの観覧車の裏手に位置する。総面積3743m2(1132坪)の土地に立つ8階建て相当の廃虚は、大阪ミナミの知る人ぞ知るランドマークとなっている。

 

この地ではかつて、反社会勢力の一員とされる人物がキャバレーを運営していたようだが、長い年月の間にほぼ廃虚化。1階の一部のみが屋内駐車場として利用されてきた。土地の主が2018年に没すると東西に分割され、それぞれ関連企業と親族が継承。建物は西側部分のみ解体され、青空駐車場に生まれ変わったが、いずれも過去の経緯からなかなか買い手が付かなかったという。

 

共生バンクがこの土地の取得に乗り出したのは22年9月。事情に通じるブローカーを通じて東側の建物付き土地を30億円あまりで取得すると、23年3月には残る西側の土地を約170億円で購入。合計で約200億円、坪単価1770万円あまりの取引を実行した。

 

この売買から間もなく、同社は上場デベロッパーや市内の不動産会社への短期転売を試みている。日経不動産マーケット情報の当時の取材記録によれば、仕入れ値の2倍に当たる400億円を提示していたが、いずれも反応は芳しくなかったようだ。「建物の残る東側だけでなく西側にも地下3階まで構造物が残り、解体費用がかさむ。容積ボーナスのある総合設計を適用する上では、前面道路幅にも課題がある。」(業界関係者)。

 

それでも、足元での値付けは強気だ。25年春時点の物件概要書には460億円との記載があるが、直近では500億円、1坪あたり約4400万円に達するとの情報もある。仕入れ値の2.3から2.5倍、24年度の固定資産税路線価の10倍前後に相当し、仮にこの水準での取引が成立するならば「大阪の中心商業地でも極めてレアな事例になるだろう」(地元の相場に詳しい不動産鑑定士)。

 

なお、西側部分の更地は24年12月、「みんなで大家さん宗右衛門町」ファンドとして商品化されている。運用期間は1年で、募集総額は210億円。想定利回り10%の好条件を謳い、25年3月までに5809人から139億円あまりを集めた。売却後、共生バンクの手に残るのはその元利を差し引いた金額である。

 

係争中の物件も販売

 

JR日暮里駅から徒歩4分。谷中銀座商店街の玄関口にあたる階段、通称「夕やけだんだん」の北隣に位置する3924m2の開発用地が次の保有資産である。売出価格は全体で50億〜55億円とみられるが、一部に利用価値の低い区画を含むため、分割での販売が想定されているもようだ。

 

21年7月、グループの都市綜研インベストバンクが競売で落札した際の価格は11億1111万円。翌月には、このうち2998m2を開発用地として卸すべく、立ち退きなどの実施を条件に西日本の電力系デベロッパーとの間で約40億円の売買契約を結んだ。同社は地上11階建て、107戸のファミリー向けマンションを企画した。

 

ところがその後、この売却において共同事業者であった不動産会社と、都市綜研との間で係争が発生。不動産会社は接道に絡む複数の建物とその借地権を保有していることから、計画建物の規模が大幅に縮小しかねない事態に陥った。8月29日の本記事執筆時点では、両社の間で複数の裁判が進行中だ。デベロッパーはすでに撤退を決め、都市綜研が8億円の違約金を支払うことで決着している。

 

同じく55億円程度での売却を目指しているのはAISIA軽井沢。サービス付き高齢者向け住宅として竣工したヴィラ形式の物件。22年に竣工し、運営する社会福祉法人も決まっていたものの、今日まで未入居のままとなっている。44戸の住宅はいずれも平屋建てで、店舗(管理棟)1棟が付属する。

 

最後の都市綜研 千葉駅前ビルは、地上12階地下2階建て、延べ床面積9046m2、1974年竣工のオフィス・店舗複合ビルだ。2019年に「みんなで大家さん31号」の名称でファンド組成された際の簿価は14億円程度。直近の資料によると売出価格は20億円となっている。

 

賃貸中ながら老朽化が進んでおり、マンションまたはホテル用地としての売却が想定される。最寄りは千葉都市モノレール葭川(よしかわ)公園駅と京成千葉中央駅で、JR・京成千葉駅からは約10分の距離となっている。

 

海外上場株も保有、一部は売買停止に

 

栁瀨氏が動画で言及した不動産以外の資産としては株式がある。換金性の観点で注目されるのは上場株だ。23年春以降、共生バンクによる保有を確認できたのは海外の4社である。

 

● 共生バンクと関連の深い海外上場企業

・MOH Nippon plc 市場(コード):ロンドン(13349097)
 概要
 「みんなで大家さん販売」の株式を保有するSPAC。目論見書では自らも不動産開発とクラウドファンディング事業への進出を掲げる
 取引状況
 決算報告書の不備により、25年8月31日まで売買停止中

 

・日本共生集団有限公司(Japan Kyosei Group Co Ltd) 市場(コード):香港(0627)
 概要
 中国本土での不動産開発を手がけるデベロッパーを栁瀨氏などが買収。成田でのホテル開発や、AI分野への進出などを発表している
 取引状況
 25年4月から2カ月間取引停止。監査意見不表明ながら売買は再開

 

・華夏文化科技集団有限公司(CA Cultural Technology Group Ltd) 市場(コード):香港(1566)
 概要
 「ジョイポリス」ブランドのゲームセンターを日本や中国で展開する。eスポーツに注力するほか、自社IP(知的財産権)開発も
 取引状況
 決算報告書の不備により、24年11月から売買停止中

 

・鴻偉亜洲控股(Hong Wei Asia Holdings Co Ltd) 市場(コード):香港(8191)
 概要
 木質建材のパーティクルボードを製造する。中国国内の建設会社、家具メーカーなどと取引。栁瀨氏らは23年10月に役員を辞任
 取引状況
 23年4月から1年間、売買停止。以後、取引が再開されている

 

【注】各社開示資料による

 

MOH Nipponは、ファンド商品の営業活動を担うグループ企業「みんなで大家さん販売」を保有するSPAC(スパック=買収特別目的会社)。24年7月、日本企業による20年ぶりのロンドン証券取引所メインボード上場として注目を集めたが、直近では決算報告書の不備が発覚。8月31日までの1カ月間の予定で、売買停止となっている。

 

日本共生集団(Japan Kyosei Group)は、香港証券取引所上場の不動産デベロッパーを栁瀨氏らが買収、改称したもの。24年6月には成田でのホテル開発事業参入を発表したが、計画延期を繰り返し株価は低迷。本業である中国本土での不動産開発の不振から、現地子会社の清算を発表し、25年4月から2カ月間にわたって売買停止となった。直近では25年7月に中国AI企業との提携を発表している。

 

同じく香港上場の華夏文化科技集団(CA Cultural Technology Group)は、セガから「ジョイポリス」ブランドのゲームセンター事業を譲り受け、日本や中国で店舗を展開。「みんなで大家さん」の投資先の一つであるグランモール(福岡県)の建物にも同施設が入居している。鴻偉亜洲控股(Hong Wei Asia Holdings)は木質パネルのメーカーだが、現時点での共生バンクとの関係は不明だ。

 

なお、共生バンクが日本国内に抱えるグループ企業や投資先は、日経不動産マーケット情報が把握するだけで70社程度を数える。いずれも未公開企業であり、当座の換金性には劣ると考えられる。

 

日経不動産マーケット情報の一連の問い合わせに対して、同社は「秘密保持契約に基づき交渉を進めており、一切の回答を控える」と話している。

 

 

不動産特定共同事業者に対する処分について

令和6年6月17日
引用元:大阪府 都市整備部
住宅建築局建築指導室建築振興課
宅建業指導グループ

 

このたび、次のとおり不動産特定共同事業法に基づく行政処分をしたので、お知らせします。

商 号 都市綜研インベストファンド株式会社
所 在 地 大阪府大阪市北区

 

1.処分内容
(1)業務の一部停止
不動産特定共同事業にかかる業務の一部(不動産特定共同事業契約の締結、締結の代理又は媒介をする行為及び不動産特定共同事業契約の締結を勧誘する行為)の停止
令和6年6月18日(火曜日)から30日間【同年7月17日(水曜日)まで】
根拠法令:不動産特定共同事業法(以下、「法」という。)第35条第1項

 

(2)指示(主なもの)
1)成田空港周辺開発プロジェクト用地の一部を対象不動産とする不動産特定共同事業契約(以下「成田商品」という。)について、事業参加者に対し、以下の措置を講じること。
・ 開発事業者による事業プランの変更に伴う、対象不動産の資産価値、将来的な収益性、事業プランの実現可能性への影響等、投資判断を行う上で重要となる事項を説明すること。
・ 契約成立前交付書面等において、対象不動産の宅地造成工事完了時における形状・構造等の必要事項を明示した上で、説明すること。

2)成田商品の事業参加者に対し、今回の処分内容及び処分理由について速やかに説明すること。また、成田商品の解約の申出に対し誠実かつ適切に対応するなど、事業参加者の保護に万全を期すこと。

3)成田商品の一つであるシリーズ成田16号(以下、「シリーズ成田16号」という。)について、契約変更に応じる意思があるかを明確に確認できていない事業参加者に対し、その意思があるかを速やかかつ明確に確認すること。

4)今回の処分内容及び処分理由並びに再発防止のために行った具体的な対策について、役員及び従事者全てに対し速やかに周知徹底すること。

5)関係法令の遵守を社内で徹底するとともに、社内研修・教育の計画を作成し、役員及び従事者全てに対し継続的にこれを実施すること。

6)不動産特定共同事業及びその遂行に関する業務の適正な運営を確保するため、社内の業務管理体制の整備等必要な措置を講じること。

7)解約の申出に係る対応状況(解約申請件数・金額及び解約対応件数・金額を含む。)について、当面の間、日次の報告を行うこと。その他の対応状況について、令和6年7月17日までに書面で報告すること。その後、必要に応じて書面で報告すること。
 根拠法令:法第34条第1項

 

2.処分理由
(1)被処分者は、大阪府知事に対し、開発事業者による事業プランの変更は、成田商品の対象不動産である土地の資産性に大きく影響を及ぼす可能性のある重要な事項と認識していると回答した。
しかし、実際には、事業参加者に対し、開発事業者のホームページを用いて計画変更の説明をするにとどまり、事業プランの変更後の対象不動産の資産価値、将来的な収益性、事業プランの実現可能性への影響等、事業参加者が投資判断を行う上で重要となる事項の説明を怠った。
これらは、業務に関し、その公正を害する行為である。

(法第34条第1項第2号及び法第35条第1項第1号該当)

 

(2)被処分者は、シリーズ成田16号の契約成立前交付書面及び契約成立時交付書面に、都市計画法第29条の開発許可の対象ではない土地を対象不動産に含んでいるにもかかわらず、開発許可を受けていると誤った記載をし、これを用いて勧誘及び契約を行った。
また、被処分者は、この誤りを是正するため、シリーズ成田16号の対象不動産である開発許可を受けていない土地を開発許可を受けた他の土地と交換しようとした。この行為は、契約変更に該当するところ、被処分者は、期日までに事業参加者から契約取消しの申出がない場合、契約変更に同意したものとみなすことにした。
これは、契約変更の手続きとして不適切な行為であり、業務に関し、その公正を害する行為である。

(法第24条第1項、同法施行規則第43条第1項第17号ロ
及び法第25条第1項違反、法第34条第1項第2号該当)

 

(3)被処分者は、契約成立前交付書面に、宅地造成工事完了時における形状・構造等を記載すべきところ、宅地造成工事完了前の形状を記載した。
 これは、業務に関し、その公正を害する行為である。

(法第24条第1項及び同法施行規則第43条第1項第17号ホ違反、
法第34条第1項第2号該当)

 

 

不動産特定共同事業者に対する行政処分について

令和6年6月17日
引用元:東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課

 

このたび、次のとおり不動産特定共同事業法に基づく行政処分をしたので、お知らせします。

商 号 みんなで大家さん販売株式会社
所在地 東京都千代田区
業務停止期間 令和6年6月21 日から令和6年7月20 日まで
適用法条項 不動産特定共同事業法第35 条第1 項(業務停止命令)
同法第34 条第1 項(指示)
同法第24 条第1 項
同法第25 条第1 項
同法施行規則第43 条第1 項第17 号ロ

処分内容

不動産特定共同事業に係る業務の一部停止30 日間及び指示
1 業務の一部停止
令和元年10 月29 日付け成田市指令第191 号の14 によりX社が開発許可を取得し、不動産特定共同事業者Y社が実施している不動産特定共同事業の用地の一部を対象不動産とした匿名組合事業(以下「成田商品」という。)に係る新規の募集及び販売に関する業務
2 指示
(1)被処分者が販売代理人となる「みんなで大家さん成田16号」(以下成田16 号商品)という。)の対象不動産の変更に関し、不動産特定共同事業契約の変更又は解約についての意思を明確に確認できていない事業参加者に対し、契約の変更に応ずる意思があるかを速やかにかつ明確に確認してY 社に報告すること。

(2)X社グループが進めている「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクト」(以下「成田PJ」という。)に関し、令和5年5月19 日付けX社グループ「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクトについての近況報告」において成田PJの計画見直しを公表した以降に、被処分者が販売代理人となり販売した成田商品について、事業参加者に対し、以下の措置を講ずること。
① 成田PJの計画見直しが、成田商品の対象不動産である土地の資産性に大きく影響を及ぼし、当該土地の最終的な売却の可否又は売却価格に影響が生じるリスクがあること、計画見直し後の対象不動産の資産価値(例えば鑑定評価額など)、将来的な収益性や実現可能性への影響といった、事業参加者が投資判断を行う上で重要となる事項について、事業参加者が十分に理解できるよう、説明すること。
あわせて、成田PJの開発中の造成工事の状況等、造成工事の完了時期・建物計画を含んだ成田PJの構想が実現するのか等の具体的見通しについて説明すること。
② 法第24 条第1項に基づき交付する書面等において、対象不動産の宅地造成工事完了時における形状・構造等の必要事項を明示した上で、説明すること。
③ 今回の処分理由及びこれに対する処分内容等について説明すること。

(3)成田商品の解約の申出があった場合には、Y社への取次を誠実かつ適切に行うなど、事業参加者の保護には万全を期すこと。

(4)本件処分理由の再発防止のために行う具体的な対策を検討し、速やかに実行するとともに、被処分者の役員及び不動産特定共同事業の従事者全て並びに事業参加者に対し周知徹底すること。

(5)法及び関係法令の遵守を社内で徹底するとともに、社内研修・教育の計画を作成し、役員及び不動産特定共同事業の従事者全てに対し継続的にこれを実施すること。

(6)不動産特定共同事業及びその遂行に関する業務の適正な運営を確保するため、社内の業務管理体制の整備等必要な措置を講ずること。

(7)指示事項(3)については、事業参加者からの解約の申出に係る対応状況(解約申請件数・金額及び被処分者のY社への取次件数・金額を含む。)について、当面の間、日次の報告を行うこと。

(8)その他の指示事項については、その対応状況を令和6年7月12 日までに書面で報告するとともに、対応に使用した資料を提出すること(上記以外に講じた措置がある場合には、これを含む。)。その後、必要に応じて随時書面で報告すること。

 

事実関係

1 被処分者は、成田16 号商品において、成田市の開発許可の対象ではない土地を対象不動産に含んでいるにもかかわらず、対象不動産について成田市開発許可により開発許可済みであると契約成立前交付書面及び契約成立時交付書面に事実と異なる記載をした。このことは、法第24 条第1項及び不動産特定共同事業法施行規則第43 条第1項第17 号ロ並びに法第25 条第1項に違反する。
 また、事実と異なる記載をした契約成立前交付書面及び契約成立時交付書面を用いて成田16 号商品の販売を行ったことは、取引の公正を害する行為であることから、法第34 条第1項第2号に該当する。
 さらに、対象不動産の誤りを是正するため開発許可を得た他の土地との交換処理を行った際に、事業参加者から契約変更の同意を得る必要があるにもかかわらず、事業参加者から申出がない場合、契約に同意したものとみなすこととした。
 このことは、契約変更の手続として不適切であり取引の公正を害する行為であることから、法第34 条第1項第2号に該当する。

 

2 被処分者は、X社が成田PJの計画見直しを行った際に、X社の事業プランの変更が、土地の資産性に大きく影響を及ぼす可能性のある重要な事項であると認識していたが、実際の説明は令和5年5月19 日付けX 社グループ「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクトについての近況報告」を送付して説明するにとどまっており、事業プラン変更後の対象不動産の資産価値、将来的な収益性や実現可能性への影響といった、事業参加者等が投資判断を行う上で重要となる事項が何ら説明されておらず、土地の資産性に大きく影響を及ぼすことの説明としては、十分な説明を果たしているとは認め難い。この状態のまま成田商品の販売を行うことは、不動産特定共同事業に関し、その公正を害する行為であり、法第34 条第1項第2号及び法第35 条第1項第1号に該当する。

 

3 被処分者は、成田商品に係る契約成立前交付書面において、「宅地造成工事完了時における形状・構造等」について、十分記載しておらず、少なくとも対象不動産の構造についての記載が不足していると認められる。このことは法第24 条第1項に違反し、また不動産特定共同事業に関し、その公正を害する行為であり、法第34 条第1項第2号に該当する。

 

   

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