SMBC日興証券㈱及び㈱三井住友フィナンシャルグループに対する行政処分等について

令和4年10月7日
引用元:金融庁

 

本日、SMBC日興証券株式会社(東京都千代田区、法人番号7010001125714。以下「SMBC日興証券」といいます。)及び株式会社三井住友フィナンシャルグループ(東京都千代田区、法人番号2010001081053。以下「三井住友フィナンシャルグループ」といいます。)に対して、下記Ⅰ.及びⅡ.のとおり行政処分を行うとともに、株式会社三井住友銀行(東京都千代田区、法人番号5010001008813、以下「三井住友銀行」といいます。)及び三井住友フィナンシャルグループに対して、下記Ⅲ.のとおり報告徴求命令を発出しました。

 

Ⅰ.SMBC日興証券に対する行政処分

 

1.処分の理由
 SMBC日興証券に対する証券取引等監視委員会による検査の結果、以下の法令違反が認められたとして、令和4年9月28日、行政処分を求める勧告が行われた。

 

⑴ 上場株式の相場を安定させる目的をもって、違法に買付け等を行う行為

 

 SMBC日興証券は、その業務に関し、10銘柄の上場株式について、「ブロックオファー」取引(以下「BO」という。)における売買価格の基準となるBO執行日の終値等が前日の終値に比して大幅に下落することを回避し、その株価を一定程度に維持しようと企て、金融商品取引法施行令第20条に定めるところに違反し、各株式の相場を安定させる目的をもって、一連の指値による買付け及び買付けの申込み(以下「本件行為」という。)を行った。

 

 本件行為は、金融商品取引法第159条第3項に違反するものと認められる。
 なお、本件行為は、SMBC日興証券において、不公正取引を牽制・防止するための売買審査態勢や、法令遵守の徹底や適切な業務運営を確保するための経営管理態勢が不十分であることに起因し、行われたものであると認められる。

 

⑵ 売買審査態勢の不備

 

 SMBC日興証券は、SMBC日興証券の売買動向監視システム(以下「システム」という。)において抽出された取引については、一定の基準に従って売買審査を行い、その結果、法令等の違反につながるおそれがあると認められた場合、当該取引を行った顧客等(自己売買を含む)に対して、当該取引の内容や当該顧客等の過去の取引状況等に応じ、ヒアリングや注意喚起などの対応(以下「措置」という。)を行うこととしている。こうした中、本件行為が行われた10銘柄のうち、8銘柄については、システムにおいては、不公正取引の疑いがある取引として抽出されているが、SMBC日興証券が措置を行う基準は、複数日にわたって行われる取引を対象として設定されており、本件行為のように、銘柄ごとに1立会日のみで行われるような取引は、システムにより抽出されても措置の対象とならない。
 また、SMBC日興証券においては、ブロックトレード等の特定のイベントに係る自己売買に対しては、システムによる抽出の有無にかかわらず、売買審査(以下「イベント審査」という。)を行っている。しかしながら、BOについては、自己売買で終値に関与するインセンティブが働くなど、ブロックトレード等と同様のリスクがあるにもかかわらず、イベント審査の対象としていない。
 こうしたことから、本件行為については、いずれの取引についても措置は行われなかった。

 

 上記の状況から、SMBC日興証券の売買審査態勢には不備があるものと認められ、これは、金融商品取引法第40条第2号の規定に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第12号に該当するものと認められる。
 なお、上記の状況は、SMBC日興証券において自己売買のリスク等に対する認識が不十分だったことに加え、SMBC日興証券経営陣が、売買審査の件数が増大しているにもかかわらず、それに見合ったシステムの高度化や売買審査体制の整備を行ってこなかったことに起因するものと認められる。

 

⑶ BOに係る業務運営態勢の不備

 

 SMBC日興証券は、BOの執行に際し、買い手顧客に対して、事前に購入の意思の確認等を行っているが、その際、SMBC日興証券営業員の相当数は、BOの執行日について、買い手顧客が推知可能な内容の説明を行っている。このような状況は、BO執行日に空売りを企図する顧客に対し、その機会を与え、空売りを誘発する一因となっているものと認められる。
 SMBC日興証券は、BO導入(平成24年)の検討段階から、買い手顧客におけるBO銘柄の空売りが当該銘柄の価格形成を歪めるものとの懸念を有していたが、BO執行日に係る買い手顧客への情報提供のあり方等について、SMBC日興証券内で適切に議論されることがないまま、BO業務を開始していた。
 また、その後、SMBC日興証券においては、実際にBO執行日における対象銘柄の株価下落に直面し、価格形成に関する懸念など問題提起が行われているが、これに対する有効な対策が講じられてこなかった。

 

 上記のようなSMBC日興証券のBOに係る業務運営状況は、市場の公正性を損なうおそれがあり、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であるとき」に該当するものと認められる。
 なお、上記の状況は、SMBC日興証券において、自己のビジネスの業務推進を優先させ、SMBC日興証券のBOの問題点を改善する意識が希薄であるなど、市場のゲートキーパーとしての自覚に欠けていたことや、ビジネスのリスクや課題を適切に把握し、商品性の見直し等の実効的な対策を行うための態勢が不十分であったことに起因するものであり、SMBC日興証券においては、適切な業務運営を確保するための経営管理態勢において不備があるものと認められる。

 

⑷ 銀行と連携して行う業務の運営が不適切な状況

 

 金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号において、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)は、当該金融商品取引業者又はその親法人等若しくは子法人等による非公開情報の提供について、あらかじめ発行者等の書面又は電磁的記録による同意がある場合等を除き、当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等と当該発行者等に関する非公開情報を受領又は提供してはならないとされている。しかしながら、SMBC日興証券は、親法人等である三井住友銀行との間において、法人顧客から情報共有の停止を求められていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該法人顧客に関する非公開情報の授受を複数回にわたって行い、これをSMBC日興証券内で共有していた。

 

(事例1)
 三井住友銀行等の複数の法人が保有していた上場会社A社の株式に関し、当該株式の売出しに関する非公開情報について、A社は役員自らが、三井住友銀行に対し、SMBC日興証券への情報提供の停止を求めていた。しかしながら、SMBC日興証券役職員は、当該情報提供の停止の求めを認識していたにもかかわらず、当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、当該売出しの実行時期、金額、方法等に関する情報を三井住友銀行から複数回受領し、これをSMBC日興証券内関係者に共有した上で、営業戦略を企画していた。さらに、SMBC日興証券の執行役員は、当該売出しにおいてSMBC日興証券が当該ポジションを獲得できるようA社に働きかけて欲しい旨を三井住友銀行に対し要請した。

 

(事例2)
 SMBC日興証券及び三井住友銀行は、それぞれ上場会社B社に対し、B社によるC社の買収及び当該買収に伴う資金調達(以下「当該買収等」という。)に関して、B社との取引において知り得た情報については、B社による事前承諾を得ることなく、SMBC日興証券と三井住友銀行との間で共有しない旨を書面により誓約していた。しかしながら、SMBC日興証券役職員は、三井住友銀行がB社から事前承諾を得ていないにもかかわらず、複数回にわたって三井住友銀行から当該買収等に関する非公開情報を受領し、これをSMBC日興証券内関係者に共有していた。
 また、SMBC日興証券役職員は、SMBC日興証券がB社から入手した非公開情報を、B社の事前承諾を得ずに、三井住友銀行に対し伝達した。

 

(事例3)
 上場会社D社は、上場会社E社の株式の過半数を保有し、両社はいわゆる親子上場の関係にあったところ、D社において、E社株式の公開買付け(以下「当該TOB」という。)が検討されていた。このことについて、D社は役員自らが、三井住友銀行に対し、当該TOBに関して、情報管理の徹底や、三井住友銀行内部においても必要最低限のメンバーへの開示とするよう求めていた。しかしながら、SMBC日興証券役職員は、当該情報管理の徹底等の必要性を認識しながら、当該TOBに関する非公開情報を三井住友銀行から複数回受領したうえ、当該情報をSMBC日興証券内関係者に共有していた。

 

 SMBC日興証券における上記行為は、金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号に規定する行為に該当するものと認められる。
 なお、上記行為は、SMBC日興証券役職員が、銀証間で情報の授受を行ってはならないことを認識しながら、案件獲得というSMBC日興証券の利益を優先したものであり、SMBC日興証券執行役員自らが非公開情報の受領や社内関係者への情報共有に関与している状況も認められるなど、銀証連携ビジネスの推進にあたり、SMBC日興証券として法令等遵守意識が希薄であることに起因するものであると認められる。

 

2.命令の内容

 

業務停止命令(金融商品取引法第52条第1項)
 「ブロックオファー」取引に関連する新規の勧誘・受託・取引に関する業務(当局が個別に認めた業務を除く。)を令和4年10月7日から令和5年1月6日まで停止すること

 

〇 業務改善命令(金融商品取引法第51条)
(1) 証券取引等監視委員会の検査において認められたⅠ.1.(1)から(3)の事実(以下「相場操縦事案」という。)について

 

相場操縦事案を踏まえ、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。

① 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化を図ること

② 相場操縦事案に係る根本的な発生原因の分析に基づき、以下の点を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施すること
  ・ 経営管理態勢及び内部管理態勢(不公正取引を防止する態勢を含む。)の強化
  ・ コンプライアンスを重視する健全な組織文化の醸成

 

(2) 証券取引等監視委員会の検査において認められたⅠ.1.(4)の事実(以下「銀証ファイアーウォール規制違反事案」という。)について

 

業務の健全かつ適切な運営を確保するため、銀証ファイアーウォール規制違反事案に係る発生原因の分析に基づき、再発防止に向けて、以下の点を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施すること。
・ 経営管理態勢及び顧客情報管理態勢の強化
・ 顧客情報管理に係るコンプライアンス意識の醸成

 

(3) 上記(1)②及び(2)に係る業務改善計画を令和4年11月7日までに書面で報告すること。

 

(4) 上記(3)の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として当面の間、書面で報告すること。

 

 

Ⅱ.三井住友フィナンシャルグループに対する行政処分

 

1.処分の理由
 三井住友フィナンシャルグループに対して金融商品取引法第56条の2第2項の規定に基づき求めた報告等により検証した結果、相場操縦事案に関して、三井住友フィナンシャルグループのSMBC日興証券に対する経営管理について改善すべき点が認められた。

 

 相場操縦事案の重大性等に鑑みれば、こうした状況は、金融商品取引法第32条の2第2項の規定による金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとることを命ずることができる場合の要件となる「業務又は財産の状況に照らして公益又は投資者保護のため特に必要があると認めるとき」に該当するものと認められる。

 

2.命令の内容

 

改善措置命令(金融商品取引法第32条の2第2項)

 

(1) SMBC日興証券における業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。

① SMBC日興証券に対して適切な経営管理を行うための態勢の構築

② SMBC日興証券が策定する、経営管理態勢及び内部管理態勢の強化、コンプライアンスを重視する健全な組織文化の醸成等のための計画及びその実施状況の検証

 

(2) (1)①に係る改善策及び(1)②の検証状況を令和4年11月7日までに書面で報告すること。

 

(3) (2)の改善策等の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として当面の間、書面で報告すること。

 

 

Ⅲ.三井住友銀行及び三井住友フィナンシャルグループに対する報告徴求命令

 

1.銀証ファイアーウォール規制違反事案に関して、本日、三井住友銀行に対して銀行法第24条の規定に基づき、以下の事項について、令和4年11月7日までに、書面で報告するよう命じた。

 

(1) 本事案の事実関係と発生原因の分析(背景となる真因の分析を含む。)、並びに当該分析を踏まえた問題認識

 

(2) 類似事案の調査、並びに調査手法及び範囲等の妥当性の検証(継続中又は実施を検討している場合は、実施計画及び進捗状況を含む。)

 

(3) 上記を踏まえた、再発防止に向けた以下の点を含む実効性のある改善対応策(改善対応策の実施計画と実施状況等を含む。)
  ・ 経営管理態勢及び顧客情報管理態勢の強化
  ・ 顧客情報管理に係るコンプライアンス意識の醸成

 

(4) (2)(継続中又は実施を検討している場合に限る。)及び(3)について、進捗状況を四半期末経過後15日以内を期限として当面の間、書面で報告

 

2.また、同事案に関して、本日、三井住友フィナンシャルグループに対して金融商品取引法第56条の2及び銀行法第52条の31の規定に基づき、以下の事項について、令和4年11月7日までに、書面で報告するよう命じた。

 

(1) 本事案を踏まえた、金融商品取引業者の特定主要株主及び銀行持株会社としての発生原因の分析(背景となる真因の分析を含む。)、及び当該分析を踏まえた問題認識

 

(2) 上記を踏まえた、グループとしての再発防止に向けた以下の点を含む実効性のある改善対応策(改善対応策の実施計画と実施状況等を含む。)
  ・ 経営管理態勢及び顧客情報管理態勢の強化
  ・ 顧客情報管理に係るコンプライアンス意識の醸成

 

(3) (2)について、進捗状況を四半期末経過後15日以内を期限として当面の間、書面で報告

 

 

金融庁、SMBC日興をなぜ処分?業務停止命令、相場操縦など

令和4年10月24日
引用元:時事ドットコム

 

金融庁が10月7日、SMBC日興証券に対して一部業務停止命令と業務改善命令を出した。悪質な相場操縦に加え、顧客情報の不正入手が理由で、処分は親会社の三井住友フィナンシャルグループ(FG)にも及んだ。大手証券で何が行われたのか。

 

―相場操縦事件とは。

 

SMBC日興が、大株主から購入した大量の株を顧客に転売する「ブロックオファー取引」対象の10銘柄について、株価が下がりすぎないよう自社資金で違法に買い支えたとされる。元幹部6人と法人としての同社が金融商品取引法違反罪で起訴された。

 

金融庁はこの相場操縦について、SMBC日興に同取引の3カ月間の停止と経営責任の明確化を含む業務改善を命令。三井住友FGには改善措置命令を出した。大手証券への業務停止処分は極めて異例だ。

 

―顧客情報の不正入手は。

 

同一グループの銀行と証券会社は、銀行の貸し手としての地位悪用を防ぐため、「ファイアウオール規制」により顧客情報の共有が制限されている。しかし、SMBC日興は顧客企業の意に反して、三井住友銀行から株式売り出しや買収などに関する3件の非公開情報を得ていた。SMBC日興の執行役員が同行に対し、主幹事証券になれるよう企業への働き掛けを依頼していたケースもあった。

 

金融庁はこの規制違反で、SMBC日興に業務改善を命令。三井住友銀と三井住友FGにも、根本原因の分析や類似事案の調査を含む報告徴求命令を発した。

 

―なぜこうした問題が起きたのか。

 

金融庁はSMBC日興の審査体制の不備を指摘した上で、大手証券が求められる「市場の(公正性を確保する)ゲートキーパー(門番)としての自覚に欠けていた」と批判。法令順守意識が希薄で、自社の利益を優先していたとも断じた。

 

SMBC日興への行政処分は過去のインサイダー事件などを含めて今回が4回目で、不祥事の教訓を生かせてこなかったのは明らか。金融庁は単なる再発防止にとどまらず、不公正取引を防ぐ体制の強化や法令順守を重視する健全な組織文化の醸成も求めている。

 

―会社側の対応は。

 

SMBC日興などは11月7日までに再発防止策を含む改善計画をまとめ、社内処分を行う。同社の近藤雄一郎社長の進退が注目されている。

 

 

SMBC日興証券㈱に対する検査結果に基づく勧告について

令和4年9月28日
引用元:証券取引等監視委員会

 

1.勧告の内容
 証券取引等監視委員会がSMBC日興証券株式会社(東京都千代田区、法人番号7010001125714、代表取締役社長(CEO) 近藤 雄一郎、資本金100 億円、常勤役職員9,440名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

 

2.事実関係
⑴ 上場株式の相場を安定させる目的をもって、違法に買付け等を行う行為
 SMBC日興証券株式会社(以下「当社」という。)は、その業務に関し、10銘柄の上場株式について、「ブロックオファー」取引(以下「BO」という。)における売買価格の基準となるBO執行日の終値等が前日の終値に比して大幅に下落することを回避し、その株価を一定程度に維持しようと企て、金融商品取引法施行令第20条に定めるところに違反し、各株式の相場を安定させる目的をもって、一連の指値による買付け及び買付けの申込み(以下「本件行為」という。)を行った。

 

 本件行為は、金融商品取引法第159条第3項に違反するものと認められる。
 なお、本件行為は、当社において、不公正取引を牽制・防止するための売買審査態勢や、法令遵守の徹底や適切な業務運営を確保するための経営管理態勢が不十分であることに起因し、行われたものであると認められる。

 

⑵ 売買審査態勢の不備
 当社は、当社の売買動向監視システム(以下「システム」という。)において抽出された取引については、一定の基準に従って売買審査を行い、その結果、法令等の違反につながるおそれがあると認められた場合、当該取引を行った顧客等(自己売買を含む)に対して、当該取引の内容や当該顧客等の過去の取引状況等に応じ、ヒアリングや注意喚起などの対応(以下「措置」という。)を行うこととしている。こうした中、本件行為が行われた10銘柄のうち、8銘柄については、システムにおいては、不公正取引の疑いがある取引として抽出されているが、当社が措置を行う基準は、複数日にわたって行われる取引を対象として設定されており、本件行為のように、銘柄ごとに1立会日のみで行われるような取引は、システムにより抽出されても措置の対象とならない。
 また、当社においては、ブロックトレード等の特定のイベントに係る自己売買に対しては、システムによる抽出の有無にかかわらず、売買審査(以下「イベント審査」という。)を行っている。しかしながら、BOについては、自己売買で終値に関与するインセンティブが働くなど、ブロックトレード等と同様のリスクがあるにもかかわらず、イベント審査の対象としていない。
 こうしたことから、本件行為については、いずれの取引についても措置は行われなかった。

 

 上記の状況から、当社の売買審査態勢には不備があるものと認められ、これは、金融商品取引法第40条第2号の規定に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第12号に該当するものと認められる。
 なお、上記の状況は、当社において自己売買のリスク等に対する認識が不十分だったことに加え、当社経営陣が、売買審査の件数が増大しているにもかかわらず、それに見合ったシステムの高度化や売買審査体制の整備を行ってこなかったことに起因するものと認められる。

 

⑶ BOに係る業務運営態勢の不備
 当社は、BOの執行に際し、買い手顧客に対して、事前に購入の意思の確認等を行っているが、その際、当社営業員の相当数は、BOの執行日について、買い手顧客が推知可能な内容の説明を行っている。このような状況は、BO執行日に空売りを企図する顧客に対し、その機会を与え、空売りを誘発する一因となっているものと認められる。
 当社は、BO導入(平成24年)の検討段階から、買い手顧客におけるBO銘柄の空売りが当該銘柄の価格形成を歪めるものとの懸念を有していたが、BO執行日に係る買い手顧客への情報提供のあり方等について、当社内で適切に議論されることがないまま、BO業務を開始していた。
 また、その後、当社においては、実際にBO執行日における対象銘柄の株価下落に直面し、価格形成に関する懸念など問題提起が行われているが、これに対する有効な対策が講じられてこなかった。

 

 上記のような当社のBOに係る業務運営状況は、市場の公正性を損なうおそれがあり、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であるとき」に該当するものと認められる。
 なお、上記の状況は、当社において、自己のビジネスの業務推進を優先させ、当社のBOの問題点を改善する意識が希薄であるなど、市場のゲートキーパーとしての自覚に欠けていたことや、ビジネスのリスクや課題を適切に把握し、商品性の見直し等の実効的な対策を行うための態勢が不十分であったことに起因するものであり、当社においては、適切な業務運営を確保するための経営管理態勢において不備があるものと認められる。

 

⑷ 銀行と連携して行う業務の運営が不適切な状況
 金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号において、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)は、当該金融商品取引業者又はその親法人等若しくは子法人等による非公開情報の提供について、あらかじめ発行者等の書面又は電磁的記録による同意がある場合等を除き、当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等と当該発行者等に関する非公開情報を受領又は提供してはならないとされている。しかしながら、当社は、親法人等である株式会社三井住友銀行(東京都千代田区、法人番号5010001008813、頭取CEO(代表取締役)髙島 誠、以下「三井住友銀行」という。)との間において、法人顧客から情報共有の停止を求められていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該法人顧客に関する非公開情報の授受を複数回にわたって行い、これを当社内で共有していた。

 

(事例1)
 三井住友銀行等の複数の法人が保有していた上場会社A社の株式に関し、当該株式の売出しに関する非公開情報について、A社は役員自らが、三井住友銀行に対し、当社への情報提供の停止を求めていた。しかしながら、当社役職員は、当該情報提供の停止の求めを認識していたにもかかわらず、当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、当該売出しの実行時期、金額、方法等に関する情報を三井住友銀行から複数回受領し、これを当社内関係者に共有した上で、営業戦略を企画していた。さらに、当社の執行役員は、当該売出しにおいて当社が当該ポジションを獲得できるようA社に働きかけて欲しい旨を三井住友銀行に対し要請した。

 

(事例2)
 当社及び三井住友銀行は、それぞれ上場会社B社に対し、B社によるC社の買収及び当該買収に伴う資金調達(以下「当該買収等」という。)に関して、B社との取引において知り得た情報については、B社による事前承諾を得ることなく、当社と三井住友銀行との間で共有しない旨を書面により誓約していた。しかしながら、当社役職員は、三井住友銀行がB社から事前承諾を得ていないにもかかわらず、複数回にわたって三井住友銀行から当該買収等に関する非公開情報を受領し、これを当社内関係者に共有していた。
 また、当社役職員は、当社がB社から入手した非公開情報を、B社の事前承諾を得ずに、三井住友銀行に対し伝達した。

 

(事例3)
 上場会社D社は、上場会社E社の株式の過半数を保有し、両社はいわゆる親子上場の関係にあったところ、D社において、E社株式の公開買付け(以下「当該TOB」という。)が検討されていた。このことについて、D社は役員自らが、三井住友銀行に対し、当該TOBに関して、情報管理の徹底や、三井住友銀行内部においても必要最低限のメンバーへの開示とするよう求めていた。しかしながら、当社役職員は、当該情報管理の徹底等の必要性を認識しながら、当該TOBに関する非公開情報を三井住友銀行から複数回受領したうえ、当該情報を当社内関係者に共有していた。

 

 当社における上記行為は、金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号に規定する行為に該当するものと認められる。
 なお、上記行為は、当社役職員が、銀証間で情報の授受を行ってはならないことを認識しながら、案件獲得という当社の利益を優先したものであり、当社執行役員自らが非公開情報の受領や社内関係者への情報共有に関与している状況も認められるなど、銀証連携ビジネスの推進にあたり、当社として法令等遵守意識が希薄であることに起因するものであると認められる。

 

 

 

 

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