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令和4年6月27日
引用元:関東財務局
1.株式会社justInCase(本社:東京都中央区。法人番号:1010401128644。以下「当社」という。)は、令和2年5月から、一泊二日以上入院した場合に入院一時金(10万円)を支払い、また新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ感染症」という。)にかかる医療機関以外の自宅や宿泊施設での療養等(以下「みなし入院」という。)に対しても同等の入院一時金(10万円)を支払う「コロナ助け合い保険(シンプル医療保険)」(以下「コロナ保険」という。)の販売を開始している。また、当社においては、コロナ保険について、令和4年1月以降に発生した新型コロナ感染症の感染拡大により、保険金支払いが当初の商品想定を遥かに上回る金額となり、保障内容の維持が困難となったことを理由に、令和4年4月6日、当該保険にかかる当社普通保険約款(以下「約款」という。)の規定に基づき、保険金額を10分の1に減額する旨を公表し、4月7日以降の入院分から適用しているところである(以下「本件保険金の減額払い」という。)。
ここで、少額短期保険業者は、業務の健全かつ適切な運営を確保していくため、少額短期保険業者自らが様々なリスクを的確に把握・管理し、適切な経営管理のもと、保険引受リスク管理態勢、商品開発に係る内部管理態勢等を構築することが必要である。こうした観点を踏まえ、当社に対し、本件保険金の減額払いに関して保険業法第272条の22第1項の規定に基づき求めた報告内容を検証したところ、本件保険金の減額払いを招いたことに関し、当社の保険引受リスク管理態勢、商品開発に係る内部管理態勢、経営管理態勢について、以下(1)~(3)の問題点が認められた。
本件保険金の減額払いの実施は、当社の経営判断に基づくものであるが、保険契約者等に重大な影響を及ぼす事態を招いた当社の経営責任は重大であり、当社においては、保険金の減額払いに至ったことについての経営責任を明確にした上で、保険引受リスク管理態勢、商品開発に係る内部管理態勢及び経営管理態勢の改善を図る必要がある。
(1) 保険引受リスク管理態勢
・ 再保険を前提としたリスク管理を行っていたなか、新型コロナ感染症の感染拡大や、それに伴う保険収支の状況等によっては再保険契約の更新に不確実性を伴うことへの認識が不足していたこと
・ 新型コロナ感染症の感染拡大時のモニタリング強化発動基準、販売停止等措置発動基準及び累積損失額基準を設定し、これに基づくリスク管理を実施していたが、これら基準の有効性の検証が十分に行われておらず、本件保険金の減額払いに至った段階でも販売停止等措置発動基準に抵触していないなど、リスク管理が十分に機能していなかったこと
・ 令和3年8月の段階で、契約開始日時から事故発生日までの期間が極端に短い請求が散見され始めたことなどから、契約申込時の告知において、過去1週間以内のPCR検査の実施有無等にかかる告知事項を追加した。しかしながら、保険収支の急激な悪化に至った令和4年3月になって上記告知事項の追加が十分に機能していなかったことを認識し、契約申込み後14日後に保障開始となる取扱いとしたが、依然として保険収支改善への効果が限定的であったこと
(2) 商品開発に係る内部管理態勢
・ コロナ保険の商品開発時の保険料算定においては新型コロナ感染症にかかる入院(みなし入院を含む)の発生率データ等が反映されていなかったが、販売開始後に保険金支払いが可能な保険料水準となっているかどうかの検証を十分に行っていないこと
(3) 経営管理態勢
・ コロナ保険に関する保険引受リスク管理や商品開発管理は、当社代表取締役や取締役等の協議により決定・実施されていたが、過去の感染パターンを過信し、上記(1)(2)のとおりリスク管理等が不十分となっていたことから、適切な経営判断を行えなかったこと
・ こうしたなか、本件保険金の減額払いの公表後、顧客に対して、新型コロナ感染症の感染拡大により、保険金支払いが当初の商品想定を遥かに上回る金額となり保障内容の維持が困難となった旨の説明を行っているが、約款の規定を適用し本件保険金の減額払いに至った詳細な経緯、発生原因を踏まえた改善策及び発生の責任の所在等について、十分な説明を行っていないこと
2.このため、本日、当社に対し、保険業法第272条の25第1項の規定に基づき、以下の内容の行政処分を行った。
保険業法第272条の25第1項(業務改善命令)
1.経営管理態勢の改善
保険金の減額払いに至ったことに関し、適切な経営判断を行うために必要な経営管理の在り方を検討し、それを踏まえた経営管理態勢の改善策を策定・実施すること。
2.保険引受リスク管理態勢・商品開発に係る内部管理態勢の改善
保険金の減額払いに至ったことに関し、当社の保険引受リスク管理態勢、商品開発に係る内部管理態勢の問題点・発生原因を踏まえた改善策を策定・実施すること。
3.本件処分に係る経営責任の所在を明確にすること。
4.上記1~3に関する今回の行政処分の内容について、顧客に対し十分な説明を実施すること。
5.上記1~4に関する業務改善計画(具体策及び実施時期を明記したもの)を令和4年7月27日までに提出し、提出後、直ちに実行すること。
6.上記5の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、3ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに報告すること(初回提出基準日を令和4年9月末とする)。
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