CO2排出権取引会社「日本橋クリエイト」(東京都中央区)経営者に実刑判決、社員には執行猶予判決

平成30年6月21日、横浜地方裁判所にて詐欺の罪に問われた投資会社「日本橋クリエイト株式会社」の実質的な経営者と社員に対する判決が言い渡された。

内容は実質的経営者には懲役5年の実刑、他の社員には懲役2年6月から3年、執行猶予5年。
裁判官は「知識に乏しい被害者を巧みに勧誘した。会社ぐるみの組織的かつ常習的犯行で悪質と言うしかない」
と指弾し、実質的な経営者には「中心的な役割を果たした刑事責任は最も重い」とした。


CO2排出権取引の勧誘に関しては「これから相場が上昇する、儲けるチャンスです」などと執拗に電話や訪問して取引に参加させようと勧誘するところから始まる。
しかし被害者の多くは理解できず「そこまで言うなら、少しでもお金が増えるなら」と思い契約を了承する。
取引は営業マンに任せっきりでお任せ状態。その後も言われる通りに現金を出す、もしくは営業マンの指示通りに金融機関のATMを操作し送金することになる。
しかし、銀行も高齢者の多額送金には注意しており家族などに言われて騙されたことに気づくことになる。



この取引の違法性(賭博性)


 この取引は被害者と日本橋クリエイトとの間での相対取引として行われる私的な差金決済取引である。
そしてこの取引での取引価格はICEのECXにおけるCO2排出権取引を参考とした円貨とされており、またユーロから円への換算レートは約定日の前日の三菱UFJ銀行が発表するレートを採用するものとされているところ、ECX市場でのCO2排出権価格も、またそれらの円換算レートも、いずれも被害者にも日本橋クリエイトにも予見することができず、またその意思によって自由に支配することができないものであるから、この取引は偶然の事情、即ち当事者において確実には予見できない事情によって利益の得喪を争うものであり、賭博行為にあたる。
 また、この取引のような相対取引では、一方が利益を得れば他方が損をするという被害者と日本橋クリエイトが利益相反の関係に立つことから、その賭博性があってもなお正当行為として適法性を有するためには、日本橋クリエイトが実質的に仲介業者類似の立場となり被害者の勝敗によって日本橋クリエイトの利益が左右されないためのカバー取引(被害者からの注文と同一の注文を日本橋クリエイトがさらに第三者に対して出すこと)が行われていることが最低限必要である。また、被害者の保証金がそのまま日本橋クリエイトの経営原資等となることを回避するため、被害者からの受け入れ保証金をの本橋クリエイトの資金と別に分離保管する仕組みが設けられていることも必要と言うべきである。
 このカバー取引については、取引要網や取引約款には日本橋クリエイトがカバー取引を行っているかのような記載があるが、そのカバー先は一切明らかにされていないことから、実際にはカバー取引が行われていなかったものと言うべきである。
 また保証金の分離保管についても取引約款その他の日本橋クリエイト作成にかかる資料のいずれにも記載されていないことから、分離保管はされていなかったものと言うべきである。
 以上からすれば、日本橋クリエイトに正当理由があったとも言い難い。
 従って、日本橋クリエイトが被害者にこのような賭博行為を勧誘したことは公序良俗に反する違法なものである。
 なお、CO2排出権取引は数年前に相対取引での金の差金決済取引で問題となった所謂ロコ・ロンドン取引と実態は全く同じであり、投資対象が金からCO2排出権に替わっただけのものである。ロコ・ロンドン取引についてはこれを賭博行為として勧誘の不法行為性を認めた判決が複数存在するのであり(例えば平成24年4月26日東京高裁判決、平成24年5月18日東京地裁判決)、また、この取引と同様のCO2排出権取引についても同様に賭博行為性を認めた判決もある(東京地裁平成26年12月4日判決)。

 
諦める前に、このような事案に精通している専門家に相談して下さい。
精通していないと逆効果になり本当なら取り返せるお金も取り返せない二次被害になりますので、十分に確認してから依頼して下さい。

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