おひさまエネルギーファンド株式会社に対する行政処分について

平成30年9月28日
関東財務局 発表

 

1.おひさまエネルギーファンド株式会社(本店:長野県飯田市、法人番号5100001023398、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた。(平成30年9月21日付)
 
 当社は、自然エネルギー事業を投資対象とした匿名組合(以下「ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行っている。当社が取り扱うほとんどのファンドは、当社又は当社の関係会社が営業者となっているなど、当社がファンド運営に主体的に関与している状況にある。
  当社は、前回検査(検査基準日:平成25年11月29日)において、原 亮弘氏(当社の前代表取締役であり、同30年8月17日付で退任。以下「原前社長」という。)が一人で資金管理業務を行っていたこと等に起因して、分別管理が確保されていないにもかかわらずファンドの出資持分の取得勧誘を行っていた等の法令違反行為が認められ、平成26年5月、関東財務局長(以下「当局」という。)から、金融商品取引法第51条の規定に基づき、適切な再発防止策及び改善計画の策定・実施、経営管理態勢・業務運営態勢及び法令等遵守態勢の整備等を内容とする業務改善命令が発出されている。
  当社は、同命令を受け、平成26年6月、再発防止のための改善策を記載した報告書(以下「報告書」という。)を当局に提出しているが、今回検査において、当社の改善策の実施状況を検証したところ、以下の問題が認められた。
 
○業務改善命令に違反している状況
 (1) 原前社長単独で資金管理業務が行われている状況
  当社は、前回検査で認められた問題を受け、原前社長を資金管理業務に一切関与させない旨を改善策として報告書に記載している。
  しかしながら、実際には原前社長単独で資金管理業務が行われている状況が継続しており、当社において、報告書に記載した改善策が履行されていない状況が認められた。
  また、他の取締役や内部管理統括責任者においても、引き続き原前社長単独で資金管理業務を行っている状況を認識していたが、これを放置し、他の役職員により原前社長の資金管理状況を事後的にチェックする仕組み等も構築しなかった。
 
(2)区分経理が行われていない状況
  当社は、前回検査で認められた問題を受け、ファンド毎に預貯金口座を開設するとともに、平成26年7月に新たに「分別管理規程」を策定し、分別管理の適切な実施のための態勢を整備する旨を改善策として報告書に記載している。
  しかし、「分別管理規程」において、出資金と営業者固有の財産を分別して管理することや、ファンドの会計帳簿において、出資金の経理状況が直ちに判別できる状態とすること等を規定したものの、実際には、会計帳簿において、出資金と営業者固有の財産を区分した経理(以下「区分経理」という。)が行われていない状況となっていた。
  また、当社コンプライアンス部においてファンドの会計帳簿等を確認するとともに、内部監査においてその適切性について検証する旨を改善策として報告書に記載していたにもかかわらず、いずれについても実施されておらず、上記の区分経理が行われていない状況を看過していた。
 
 原前社長は、こうした状況を改善することなく、これを利用し、平成24年5月から今回検査基準日(平成30年5月7日)までの間、出資金の一部が入金されている営業者口座から、合計で830万円を自らの住宅地の購入費用や生活費等に費消していた。また、私的費消を隠蔽するため、決算期の異なる他のファンドの営業者口座から私的費消したファンドの営業者口座に対し、延べ2350万円の資金移動を行っていた。
 
 当社の上記の状況は、金融商品取引法第52条第1項第7号に規定する「金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。」に該当するものと認められる。
 
2.このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
 
 (1)  業務停止命令
 金融商品取引業のすべての業務(顧客取引の結了のための処理を除く。)を平成30年9月28日から同年12月27日まで停止すること。
 
 (2) 業務改善命令
  1)  本件について、責任の所在を明確にするとともに、発生原因を究明し、改善応策を策定実行すること。
  2)  本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。
  3) 前代表取締役による出資金の私的な費消については、調査を実施し、責任の所在を明確にするとともに、私的費消した出資金がファンド財産に適切に返還されるよう必要な対応を取ること。
  4)  顧客からの問い合わせ等に対して誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
  5) 上記1)から4)までの対応について、平成30年10月29日までに、進捗状況及び対応結果について報告すること。以降、随時に報告すること。

 

 

 
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